ブラインシュリンプ

タグ
0

登録できるタグは5個までです。
追加するにはいずれかのタグを削除してください。
riparian 2016/12/28(水)00:06
今回は小型魚飼育に欠かせないブラインシュリンプについて書いていこうと思います。


まずブラインシュリンプ=アルテミア (Artemia) とはどういったものかというと
『アルテミア (Artemia) は、節足動物 甲殻亜門 鰓脚綱 サルソストラカ亜綱 無甲目 ホウネンエビモドキ科 の属名。
1科1属であり、所属する9種の総称ともなっている。
小型の甲殻類で世界各地の塩水湖に生息し、代表種は Artemia salina である。1億年前から変化していない生きている化石とされる。 種によってはブラインシュリンプ (brine shrimp) とも呼ばれ、長期間乾燥に耐える休眠卵の採取を目的に採取・養殖され、市販されている。』                                                    Wikipediaより抜粋

上記の内容を簡単に言うと『ホウネンエビに似た種で汽水に生息するアルテミアというグループの一部、塩水に入れると孵化する卵を産むよ』ということです。
深く解説していくとまた異常に長くなってしまうので解説はここまで

重要な内容はブラインシュリンプとして市販されているものは複数種のArtemiaが混在していること、産地が違うため(アメリカ、中国、ロシア等)同条件で孵化を行っても孵化率に違いがでること、あとは休眠卵の状態が年単位で長くなると徐々に孵化率が低減していくこと、ここら辺に問題はありますが、小型魚や稚魚の餌としてブラインシュリンプは、面倒と敬遠されがちですが栄養満点で慣れてしまえば、冷凍餌と大差ない手間で準備できる非常に優秀な生餌になります。

今回は我が家での孵化の手順を簡単に説明していこうと思います。

用意するもの
ブラインシュリンプの卵
粗塩 (安い物でok)
人口海水の元 (これも安い物でok)
カルキを抜いた水
100均で買った円筒状の容器(容量2L)
ブラインシュリンプネット+スポイド(ブラインシュリンプを漉しとるためのもの)
エアポンプ+エアストーン+エアホース
ビニールシート


カバー付きヒーター
発泡スチロール箱

時期によって必要になってくるものが違います、ヒーターと発泡スチロール箱は水温が20度を下回った状態から必要になってきます。

設置手順

1 まず陽のあたる場所にビニールシートを敷きます、次に発泡スチロール箱をその上に置き、水を入れその中にカバー付きヒーターを設置します。

解説
 水温は24度~30度、水温が高いほど孵化にかかる時間が短くなります、低め24度で2日位かけて孵化させた方が元気で経済的にもお勧めです。

水位はヒーターが隠れる分プラス熱伝導の為の5~7cmが理想。

ブラインシュリンプ孵化容器の中にヒーターを直接入れるとヒーター付近を泳ぐブラインシュリンプが死んでしまいます。

カバー付きヒーターは直接ヒーター部が発泡スチロールに接触しない為、ビニールシートはエアレーションを行うと水が飛散する為の対策です。


2 円筒状の容器(容量2L)を秤の上に置き粗塩を10g入れます、次に人口海水の元を5g入れます、ブラインシュリンプの卵を入れます、カルキを抜いた水を容器の八分目まで入れます。


解説 
 ブラインシュリンプの孵化には塩分と微量ミネラルが必要になります、粗塩は海水を濃縮した天然塩になりますのでこれだけでもいいのですが、人口海水の元の方が海水成分に近く孵化時ブラインシュリンプも元気な状態になります。
(必要とする塩分濃度はどのメーカー製であれ大体2% 上記の数字はこれに基づき出しています。)

いろいろ使いましたが、孵化率に関して言えば古くない限り方法を守ればどのメーカーのものでも十分な孵化率があるようです。
画像はテトラ社製ですがあまり評判は良くないですが全く問題なく十分な孵化率を保っています。
上でも書きましたが孵化率に直結するのは卵の鮮度と採集産地(別種で生息環境が違う為)のようです。

うちでは100均で買った粗塩とセールで買った一番安い人口海水の元を使用しています、人口海水の比率を上げるとブラインシュリンプの状態は良くなりますがランニングコストがあがってしまう、元気すぎてもうちの飼育魚たちは追いつけず食べられない、この様な理由からこの配合にしています。

セールで買った人口海水の元、安い時を狙えば500円以下で1kg購入可能


この容器で最大3g程のブラインシュリンプを孵化させることができますが、結構な量になり、それと孵化直後が栄養価が一番高く時間が経つにつれ低下するので量は控え目にわかした方が良く、うちでは2日で給餌する分だけわかしています。
(餌を与えて栄養価を高め育成することもできます。)


3 2の容器を1の発泡箱に入れエアレーションを行い1日から3日待ちます。


解説
 エアレーションは強め、容器下部にエアストーンを落とし行ってください、円筒形の容器の場合水流が満遍なく回り卵全体に酸素が行き渡ります。

3日以上おきますと、早い段階で孵化したブラインシュリンプが死に始めますので注意してください、高水温時はわくのも死に出すのももっと早くなります。


4 エアストーンを取り出し容器を窓際に置き光に集まる習性を利用してスポイドなどで採集しネットで漉しとります、これを浄水で塩分を洗い流し各生体に給餌を行います。

少なく見えますがうちで飼育する小型魚2日分には十分すぎる量が孵化しています。

解説
 採集する方法はスポイドの他にもエアホースでサイフォンの原理を利用して採集や容器自体に排水コックを付ける等色々あります。  サイフォンの原理や排水コックは水位の低下と共に浮いた卵の殻が容器側面に付着し分離していくので便利です。

孵化に使った海水は雑菌も入っている為、あまり水槽内に入れないほうがいいといわれています。

ブラインシュリンプネットも色々でコーヒーフィルターや茶漉しを利用する人もいるようです。


順番立てて記載してきましたが、ブラインシュリンプのわかし方は人それぞれ、蓋を開けてパラパラという訳にはいきませんが、非常に栄養価が高く比較的水を汚さず嗜好性抜群、小型魚飼育+繁殖を狙っている人は試してみてはどうでしょうか?


ここからはブラインシュリンプの育成他

私がブラインシュリンプに手を出したのは超小型ヨウジウオ『パラドクスフィッシュ』を飼育するようになった為ですが、当時経験不足から満足に湧かすことができませんでした。

微小の生き物しか口にできないパラドクスフィッシュ一部のマニアに人気!

それからいくつものサイトの情報をあさり試していくうち、あるサイトに行き着きました、ご存知の方も多いと思いますが『日海センター』さんです。
そこで生ブラインシュリンプ孵化セットを購入し、ブラインシュリンプの育成について知ることになるのですが
http://www.nikkai-center.com/h.buracase.html
中々奥が深い、しかしここと他数サイトの情報により問題なく孵化、育成ができるようになりました。
(現在は幾つかの問題を感じ孵化分離ケースは使用していません)

ブラインシュリンプの孵化で重要なのは『光、塩分濃度、水温、エアレーション、微量ミネラル』うまく湧かせられない、孵化したがすぐ死んでしまう場合、水温か微量ミネラルが足りていないことが多いようです。
この項目が全てそろうとどのメーカーの製品であろうと採集から年月が経ちすぎていなければ、孵化率はかなりのものになると思います。

ブラインシュリンプは環境と餌を用意することによって育成することができます、そのための餌や飼育器具も売っています。詳しくは日海センターさんのサイトをご覧ください。
むかしはやったシーモンキーもアルテミアの一種なので似た感じです。

余談ですがホウネンエビはホウネンエビ科で少し離れた一団になります。
よく混同されるカブトエビとは全くの別種で草食傾向の強いホウネンエビに対してカブトエビは肉食よりなので一緒に飼育するとホウネンエビは捕食されてしまうので注意が必要です。
昔は夏季田んぼに大量発生するとその年は豊作になるといわれた豊年エビですが、私も実物は見たことがありませんでした。
近年農薬の影響で見かけることが少なくなっているようです、どうしても見たい方はオクにたまに出品される休眠卵を買うか、加熱処理をしていない田土を使うと見ることができると思います。
ちなみにオクで取引されているものは日本産ではないようなので厳密には種類も違うと思います。

田土が欲しい方は
http://www.ishidaseikaen.com/webshop/products/list734.html
石田精華園 ミジンコ休眠卵入りの田土
こちらで購入できます。
厳密には私が購入したものとは違うようですが、この田土ミジンコ意外にも色々な微生物が湧く為、我が家で培養している微生物のルーツになっています。
以前の商品ではホウネンエビの孵化も確認し,我が家ではこの土をビオトープに少量ずつ使用することによって生物相豊かな環境を再現することができています。
それとこの石田精華園さん結構おもしろい抽水植物や山野草を販売している為、ビオトープやテラリウムをやっている人は楽しめるかもしれません。



うちの培養槽の一部ここでは茶苔(珪藻)、ヒルガタワムシ、ブラインシュリンプを培養しています。

茶苔(珪藻)の培養槽、画像はグリーンウォーターになっていて茶苔の培養も順調。ある程度でリセットが必要。
その他にも、タマミジンコ、ケンミジンコ、インフゾリアなどの培養も手がけていますが、最近クロレラの培養にも手を出し始めました。 ブラインシュリンプ育成目的ではないですが植物プランクトンはうちでメイン飼育を行っているオトシンに必要不可欠と判断した為ですが、うまく培養がいった場合また報告させて頂きます。

それではまた
{aimg}201612272226421-12-8{a}
{aimg}201612272226511-12-8{a}
{aimg}201612272226591-12-8{a}
{aimg}201612272227081-12-8{a}
{aimg}201612272227191-12-8{a}
{aimg}201612272227461-12-8{a}
{aimg}201612272228051-12-8{a}
{aimg}201612272229371-12-8{a}
{aimg}201612272237161-12-8{a}
{aimg}201612272349041-12-8{a}

スポンサーリンク

[7]返信 riparian さん riparian 2016年12月28日
>>2 >>5
ホウネンエビや沼エビなどの甲殻類は非常に農薬に弱い為一般的な田んぼから姿を消したようです。 そのためホウネンエビが大量発生できている田んぼは農薬の量を控えた農法を行っている自然に優しく体においしいお米ができます。
ホウネンエビかわいいですよ、私はガラスの器に土を入れ抽水植物を植えた中に泳がせていましたが古代のアノマロカリスを小さくして逆さまに泳ぐ姿はすごく癒されていました。 
でも寿命が1月程度しかないのは残念でしたね。
日本のホウネンエビは草食性ですが海外のホウネンエビの仲間には肉食で大型になる種類もいるようです、まさに現代のアノマロカリスですね!

[6]返信 riparian さん riparian 2016年12月28日
>>1
私も初めは皿式で安定してたのですが、湧かす量を増やす為やり方を変えたところ湧いたり湧かなかったり不安定になってしまったというのが始まりです。
>>3
少しでもお役に立てれば嬉しいです。
>>4
アルテミアは現在9種が記載されていてその中の3~4種がブラインシュリンプとして市販されているようですが実際は混血種を使っているや記載種以外を使用している可能性もあり明確なことは解らないようです。

[5]返信 みやや さん みやや 2016年12月28日
こちらもホウネンエビは田植え時期に普通に見てましたw
是非捕まえに来てください♪

ブラインシュリンプは来る日に備えて良い事を聞けました♪

[4]返信 NB さん NB 2016年12月28日
昔から馴染みのあるブラインシュリンプに複数種あるのは初めて知りました

[3]返信 もっさりーぬ さん もっさりーぬ 2016年12月28日
ネットには載っていなかった情報もあり勉強になります_φ(・ω・ メモメモ…

[2]返信 とみお さん とみお 2016年12月28日
ブラインシュリンプは使ったことないので、勉強になりました。今度、挑戦してみます。
私の近所の田んぼで夏場はホウネンエビがうじゃうじゃいるので、そんなに珍しいとは思っていませんでした。タマミジンコ採取の際に捕まえて観察でもしましょうかね

[1]返信 チャーリー さん チャーリー 2016年12月28日
面倒臭くて90水槽のLEDライト下で皿式やってます(´;ω;`)手抜きでごめんなさい…

ログイン

ID

パスワード

アクアショップ情報
当サイトもお世話になっている
熱帯魚店のご紹介